既存システムに限界を感じ、Salesforce導入へ。業務改善だけでなく、社員の意識をも変えたDX戦略とは
- 主なお客様であったオーナー顧客の高齢化によって、営業の売り上げが鈍化していた
- 元々使用していた基幹システムでは、集計や案件のチェックがリアルタイムで反映されないなどの実害が出てしまっている
- 手付かずの業務や長期アプローチ顧客の可視化と追客の自動化が可能に
- 自発的な意見や行動の増加など、社員の姿勢が変化
- プロジェクトメンバーだけでなく、全社員の声を反映できたためオンボーディングの促進に成功
Salesforce導入に至った背景や抱えられていた課題についてお聞かせください。
課題は大きく2つありました。
1つ目は、これまで売上構成の大半を占めていた既存オーナー顧客の高齢化により、案件数や単価の減少が顕著に現れ営業活動の転換が必要となったことです。
特に単価の減少によってこれまで以上の売上を見込むには、新規顧客に対して物件数(案件数)を創出することが必要ですが、営業担当者への負荷が今以上に発生し、従来の営業手法では難しいと考えました。
打ち手を検討するにあたり新規顧客の開拓や既存の掘り起こし、従業員の働き方の改善や業務改善など、どこを効率化すれば効果的なのかが全く見えていなかったため、まずは業務にまつわるあらゆる情報を見える化させることが必要でした。
2つ目は、現在使っている基幹システムで実害が出ていたことです。 具体的には、集計や案件のチェックを個人がリアルタイムで確認できない環境であったことが挙げられます。 自分の会社なのに、自分のお客さんなのに、今いる状態をリアルタイムで把握できないことは、管理職の方にとって大きなストレスに なっていました。そのため、営業所によってはExcelで商談管理や独自集計をしていたり、Excelで管理するからシステムへの入力を忘れ て乖離が出たりと、人的エラーが出ることもありました。
また、社内でのみアクセスできる仕様であったため、移動先から顧客の情報が見れないことも課題の1つでしたね。一度事務所に戻った り、事務所にいる誰かに連絡をして、次に行きたいお客様の情報を聞き出す必要があり、業務効率の観点でも今の基幹システムでは限界 を感じていました。
課題を解決するために、なぜSalesforceを選ばれたのかお聞かせください。
5社ほど比較検討はしており、色々な会社さんにデモを見せていただきました。
ですが、やはり初めて見るソフトばかりなので、どれも良さそうに見えてしまって、結局当社に合ったものはどれなのか決めかねていたんです。
決め手となったのは、定着化の観点で強くメッセージしてくださったknouさんの存在でした。
knouさん自体が建築・不動産業界に特化したベンダーであるということが一番の魅力ではありましたが、
それ以外にも、Salesforceのネームバリューや世の中的に汎用的な記事が多く充実していること、そして管理者の私たちが定年を迎えて居なくなったとしても使い続けていくイメージができたことも決め手の一つですね。
プロジェクトスタート前のご不安や期待値はどのようなものがありましたでしょうか。
導入を決めたものの、社員全員が本当にシステムを活用してくれるか、という点は不安でしたね。社員全員にとって使いやすいシステムにしていくための運用ルールを定めていけるのか、スキルアップしていくことはできるのかは導入してみないと見えない部分だったので漠然と不安は感じていました。また、元々使っていた基幹システムには受発注の機能が付いていましたが、その部分はSalseforceに移行できないことが分かり、2つの システムの併用が必要になりました。そのため、これらの業務が分断されずに一連の流れとしていけるかどうか、二重入力などの基幹 システムとの連携も課題視していました。
一方で期待値もとても高かったです。
今までは、基幹システムに入っている売り上げ状況や物件状況などのデータをエクセルへ出力して計算したものを反映させていたのでとても時間がかかっていましたが、Salesforceを使うことでリアルタイムでデータを可視化できるため、業務効率化や生産性向上の視点で、大きな期待を抱いていました。また、Salesforceを使うことで顧客の掘り起こしや案件創出ができる点も伸び代を感じていました。
我々が今まで手付かずでいたようなところを、自動的に掘り起こして売り上げにシステムから寄与できるようになることを知った時はとても感動しました。これから本格的に活用を進める施策とはなりますが、とても期待しています。
そして一番成長の余地があると感じたのは、導入後もより使いやすいものに自分たちの手で育てていけるという点です。従来の基幹システムはベンダーさん任せで開発をお願いしていたので、ちょっとした修正も依頼しなければいけませんでした。その点Salesforceは自分たちの成長次第で修正もできますし、自走もしていけるので期待値は高かったですね。
knouによるプロジェクト進行や構築環境の満足度はいかがでしょうか。
スムーズに進めることができたと感じています。
マイルストーンに沿ってミーティングを組んでくださり、先の予定まで予め押さえてくださったので、スケジュールの管理がしやすかったですね。
またプロト版の完成度についても、数回の要件確認ミーティングと限られた帳票の中から読み取って、提案型にてご用意いただきましたが、よくここまで作ってくれたなというのが第一印象でした。
中身の計算式など、私の方で修正が必要な部分があったのも事実ですが、ここは社内でも集計担当の私以外把握していない部分でしたし、修正したと言ってもknouさんが作ってくださったベースがあったからこそなので、特に問題視はしていませんでした。
むしろ、ゼロベースから私たちだけで構築することは絶対に不可能だと分かっていたので、knouさんと一緒に満足のいくものを作り上げることができて、とても嬉しく感じています。
担当者、窓口の印象はいかがでしたしょうか。
とても満足しています。
もちろん担当者の人柄もありますが、
「今日はこの議題について話しましょう。議事録はこちらに格納しております。」
「次の議題はこちらになります、この資料を使います。」
といったように、1つ1つのミーティングのガイドやファシリテートがとても丁寧で分かりやすく進めてくださいます。
この担当者さんだけが特に良いというわけではなく、knouの皆さんのどなたに聞いても変わらず安心した対応をしてくれるので
本当に頼りにしていますね。
Salesforce稼働後、数ヶ月ですが社内の変化があればお聞かせください。
全社的にSalesforceを活用して、改善を目指す姿勢や効率よく営業活動をしようとする意識が見えるようになりました。
営業現場の方々から、意見や質問が多く出るようになってきましたし、私たち管理者が社内から出るそれらの要望に答えられるようになっていきました。
さらに、今まで私がメインで行なっていたデータ出しなどの業務も、私を頼ったり私の作業を待つなど“他人事”の姿勢から
「ここは僕がやります。」など、“自発的”に考えて動く方が増えていったんです。
社内の中にも何人か詳しい人が出てきて、お互いに教え合ったりしている場面も多く目にするようになり、定着や活用の観点で輪が広がり続けています。
そして、年に一度営業所で行う方針説明会では、今まではシステムに対しての言葉が全く出てこなかったのに対し、上層部からSalesforceの活用を促す言葉が出てくるようになりました。
データ入力をする意義やSalesforceが生み出す効果を、皆さんが理解してくださるようになっていきましたね。
今後のDX、業務改革、生産性向上について貴社での展望をお聞かせください。
既存システム連携の観点で、課題として残ってるのは2重入力とAPI連携です。
具体的には、現在当社にはANDPAD、Salesforce、基幹システムの、3つのシステムが主に存在しています。
さらに、経理側では勘定奉行も存在しているため、これらのシステムをシームレスに連携することで
目指すことができる「見積もりから請求まで」を一気通貫に行うこと、を実現していきたいですね。
現時点では、全てのデータではないにしろ、基幹システムに受発注の履歴を残さなければいけないなど、一定数は複数箇所に入力する必要があるため、従業員の負担となっています。
それだけでなく、基幹システム自体が今後のアップデートに耐えられなくなるかもしれない懸念もあるので、早急に入れ替えを検討する必要もあります。
今後Salesforceをより使いこなし、生産性をもっと上げていくためにも、これらの課題は迅速に対応していかなければいけません。
株式会社knouの魅力は貴社においてどのように感じられておりますでしょうか。
弊社の目指す形の一つに、“お客様に対してのコンシェルジュ的な立ち位置に常に居たい”というものがあるんですが、knouさんの知見やサポートなど、これまで共に伴走してきた時間を振り返ると、knouさんはそんな当社のコンシェルジュ的な立ち位置にいてくださっていると感じています。
導入当初はknouさんに任せっきりになってしまう部分もありましたが、次第に、自分たちなりに考えて修正をして、knouさんにやり方が正しいか確認をする、という頼り方のプロセスや投げかける質問の質が変化していくことができたのも、knouさんのサポートのおかげです。
また、knou代表の伊勢さんがSFUG CUP(※)で優勝されたという実績も信頼につながっていますね。
社内では詳しい部類に入っているとはいえ、やはり私たちはシステムの専門家ではないので、1ユーザーとしてSalesforceを活用していたプロフェッショナルがそばに居てくださることで、心理的な面でも技術的な面でも安心できています。
(※SFUG CUPとは Salesforce User Group CUP の略で年に1回開催される全国のSalesforceユーザによる活用自慢大会です。)
※上記は2023年6月の情報です。